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食と農

「機能性表示」で売ろうとするのは間違いだ!

本当に差別化できるヘルスケア商品マーケティング
2015.5.27(水) 藤田 康人



 消費者の健康志向の高まりを追い風に、「トクホ(特定保健用食品)」や「栄養機能食品」に次ぐ“第3の波”として注目を集める「機能性表示食品」の第1弾商品がついに出そろった。


 消費者庁は47月17日に7社8商品の届出を受理、その後その数は順次拡大し、5月25日時点では26品まで増えている。機能性表示では、トクホに例のない「肌」や「目」に関する機能性を訴求する商品も出てきた。

「形式的」ではなかった事前審査

 今回の制度でパッケージに表示できる成分のポイントは、「体に有効な(機能)成分を特定できている」「なぜ有効なのか(作用機序)が判明している」「効果的な量が分かっている」の3点となる。

 しかし、小売店頭に設置するPOPなどのプロモーションツールや、飲食店のメニューなどには機能性表示ができない。商品がパッケージに入っていても「ファストフード店などのように、その場で飲食できるもの」(消費者庁)も対象外となる。疲れやだるさ、ストレスといった不調感も不可で、病名を記すこともできず、病気にかかっている人や未成年、妊婦・産婦・授乳婦向けのアピールもできないという制限がある。

 届出件数自体は、100件以上あった中で現在までに受理された商品数から見ると、「届け出さえすれば基本的に受理されるのではないか」と言われていた事前情報とは異なり、受理されるハードルは案外高いようである。

 消費者庁側は、制度の実施にあたり、届出のあった機能性表示食品の書類上の不備や「NGワード」などをチェックするなどの「形式的な審査は事前に行う」としていた。そのため、トクホと違い、機能性表示食品の事前審査は形式的なものであり、実質的には届出だけで効果を表示できると見られていた。事業者からは、開発費用を抑え開発から販売までの期間を短縮することができ、早く、安く、商品開発を行うことができると期待されていたのである。


 ところが書類の受理状況を見ると、とても「形式的な審査」というレベルではないようである。

 また、何が「不備」に当たるのか、「NGワード」にはどんなものがあるのか、ガイドラインが明確に示されているわけでもない。

根拠やエビデンスの不備を指摘されるおそれも

 これらのハードルを乗り越えて書類が受理されて商品発売までこぎつけたとしても、企業はまだ安心することはできない。

 まず、「機能性表示食品」はトクホや栄養機能食品とは異なり、特定の商品の効果効能をうたうことを、国として認めているわけではない。あくまで企業が自分たちの責任で、自社のリスクの中で製品を販売することを認めているのに過ぎない制度である。つまり、公に国のお墨付きを与えているわけではないのである。

 それゆえ、製品発売後に、製品パッケージに表示されている文言やその根拠として提出されているエビデンスの不備等をいつ誰から指摘されるか分からない。

 同種の製品を販売する競合企業、今回の制度そのものに強い危惧を抱く消費者団体やNGO、エビデンスの研究で協力を仰いだ研究者との学会内のライバル関係にある大学研究機関、狂信的なクレイマーなどからの様々な指摘に企業自身が直接対峙しなければならない。


 今回受理されたものについても、すでにトクホとして許可を得るための審査で「安全性に疑いがあると指摘されているものが含まれている」との声があがっている。

公表されたデータを使えば他社でも製造可能

 今回の制度における評価の方法は、「製品の臨床試験」か「最終製品、成分のシステマティックレビュー(SR)」の2択があるが、どちらにしてもそこで使われるデータは消費者庁のウェブ上で公知のものとなる。

 それはすなわち、他社もそのデータを使って、同じ効果効能をうたった同じような製品を販売することが容易になるということを意味する。つまり、今回の制度は自社を優位にする、排他性をほぼ持たないということなのだ。

 同様の機能性成分を同量配合すれば誰もが同じことを製品に表示できてしまうのであれば、最終製品を製造販売するメーカーが、コストをかけて独自のエビデンスを取得するメリットはあまり大きいとは言えない。

 ただし、原料メーカーにとっては逆に大きいビジネスチャンスにつながることが期待できるだろう。本来「B to B」である原料メーカーが独自エビデンスにより、「B to C」向けの製品を自らが発売し販売実績をつくることで、多くのメーカーに採用してもらう道筋を開き、原料の拡販を狙えるというわけだ。

 実際に原料メーカーとしての側面を持つキユーピーとリコムの2社が第一陣として書類を受理されており、リコムは、「独自に規格化した原料で、今後、OEM供給にも対応していく」という戦略を既に打ち出している。

消費者にとってのメリットとは?

 一方、消費者にとってこの新制度スタートで何が変わるのだろうか? 整理すると以下のようになるだろう。


(1)体のどこにどう効くかが分かりやすくなる

 これまで、トクホや栄養機能食品以外の食品は、体への機能性を表示することができなかったが、新制度のスタートで、「どこにどう効くか」が表示できるようになる。

 これによりサプリメントや健康食品などと異なり、あまり機能効能を意識していなかった野菜などの生鮮食品にもどんな健康機能がある事が分かるようになる。

(2)機能性成分を強化した食品が増える

 機能性表示ができるのは、機能性成分が効果を期待できる量が入っている製品に限られる。このため、機能性成分を強化した食品が増えてくると考えられている。

 これまでも機能性成分が入っていることが表示されている食品は数多くあったが、この制度下では一定量以上入っていないと表示が許されないので、その配合基準を満たした製品が増えるだろう。

(3)機能性についての説明がウェブなどで確認できるようになる

 今後、機能性表示食品を販売する企業は、機能性について分かりやすくウェブなどで公表しなくてはならない。消費者が製品の機能性情報をより詳細に入手することが可能になることで商品が選びやすくなる。

(4)機能性や目的部位別に陳列された売り場が増える

 機能性表示食品の登場で、「お悩み別」「部位別」に陳列された売り場が増えてくると予想されている。スーパーやドラッグストアでの売り場の作り方が変化するだろう。

制度や表示に頼るよりも「ストーリー」で勝負

 消費者の観点から見ると製品パッケージに健康表示があることで、より製品を選びやすくなることは間違いないが、それによって食品を食べる量そのものが増えるわけでない。いまだに尾を引く消費税増税後の業績悪化に悩む食品業界は、この制度により機能性食品の市場が一気に成長するのではないかと、過剰な期待を抱いているように感じる。


 だが長らくこの業界に携わってきた筆者の感覚では、日本における機能性食品市場が飛躍的に拡大するには、まだいくつか超えるべきハードルがある。

 「食品に含まれる○○という成分、素材は××に効く」というような健康情報は、既にネットなど様々なメディアにあふれている。それが多少商品パッケージに表示できるようになったぐらいで、爆発的に販売が伸びるとは考えにくい。

 また、同様の効果効能をうたえる成分や製品は他にも数多く市場にある。さらに、医薬品とは異なり、食品は薬事法の規制で病気の治療効果等を表示することは許されていない。

 確かに今回の表示制度により多少の健康維持や疾患予防効果の表示は可能になる。しかし、それがどれだけ販売を押し上げるのかは疑問府がつくと言わざるをえない。

 むしろ大切なのは、消費者のインサイトに基づく効果効能を伝えることができるエビデンスの開発と、それに沿ったストーリーやコンテンツをつくることだろう。

 ただ単に「××に効く」という表示だけでは、健康情報があふれる中、現代の消費者の心をつかむことは難しい。オリジナリティーのある製品にまつわるストーリーと、そのプロモーションこそが、市場にあるあまたの商品との差別化を可能にするのである。

 この連載では制度や表示に頼るのではなく、機能性食品などヘルスケア領域における“本当に売れる”リアルなマーケティング手法について考えていきたい。

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突っ込みどころが満載すぎる「機能性表示食品」
不明な点に相次ぐ指摘、このままでは期待外れの制度に?

2015年4月にスタートした「機能性表示食品」制度。導入から2カ月が経ち、申請を試みる企業からは、早くも「不明な点を挙げたらきりがない」との声が漏れ聞こえる。この連載では、制度や表示に頼らない“本当に売れる”リアルなマーケティング手法について、ヘルスケア領域を中心に考えていく。

“国のお墨付き”がない機能性表示食品

 消費者の 「自主的かつ合理的な商品選択の機会の確保」 を促す制度として導入された「機能性表示食品」制度。トクホ(特定保健用食品)と比べ、事前審査は形式的で、早く、安く、商品開発が行えるようになるという期待が事業者側にはあった。しかし、ふたを開けてみれば、その実情は消費者にとっても、事業者にとっても難解なものとなっている。

 前回のコラム(「機能性表示」で売ろうとするのは間違いだ!)で述べたように、機能性表示食品は、トクホと異なり、国から個別の認可を受けるものではない。特定の食品の効果効能をうたうことが、国から認めているわけではないのだ。責任は事業者にあり、企業は製品発売後にエビデンスの不備を指摘されるといったリスクを避けることはできない。

 案の定、発売後どころか、届出を受理された直後から、製品の妥当性を疑問視されるケースがすでに出ている。消費者団体などから、製品のウェブサイト上で公開されているデータの不備や、過去のトクホ申請過程など、あらゆる観点から指摘を受けているのだ。

 安全性の疑いを指摘されたのは、リコム(東京・南池袋)からダイエット茶として発売されている「蹴脂(しゅうし)茶」。このお茶に含まれているエノキタケ抽出物が問題となっている。同社は2009年にトクホに申請していたが、食品安全委員会から「心血管系や呼吸器系など多岐にわたる臓器に影響を及ぼすことが否定できないため、安全性を評価することができない」と指摘されており、トクホ申請は認可されていない。

 一方、このお茶と同成分が含まれるサプリメント「蹴脂粒」は、機能性表示制度で届出が受理されており、この整合性を巡って議論が巻き起こっている。


トクホとの整合性で「歯止め」となるか

 全国の消費者団体で作る全国消費者団体連絡会は、内閣府の食品安全委員会が「安全性を確認できない」とした成分が含まれる食品があるほか、機能の根拠が弱いと考えられるものがあるとして、「機能性表示食品」による消費者被害を防ぐための意見書を5月26日に消費者庁に提出した。このうえで、「機能性表示食品」制度について広く消費者に周知することや、消費者からの相談窓口を明確にし、寄せられた情報を関係機関が共有できるようにすることなどを求めている。

 これを受けてということではないかと思うが、翌日の5月27日、消費者庁は、食品安全委員会や消費者委員会が、安全性を疑問視した製品や成分を事業者が届け出た場合、受理しないようガイドラインを改正する方向で検討に入ったことを発表した。届出があった場合、成分の質や量などを両委員会の審査内容と照合し、安全性に関する科学的根拠を見極めて対応する見通しだ。

 制度導入の4月当初、書類などの不備はチェックするものの、届出内容に関しては国が審査しないことが大前提だった。しかし、どうやら一定の歯止めが必要と消費者庁は判断したようだ。
ますます広がる「食品機能」

 今回の機能性表示食品制度で、企業にとって一番大きな利点は「体のどの部位にどのような機能があるか」表示できる幅が広がることで、消費者自らが自分の目的に合った食品を選びやすくなることだと見られてきた。

 消費者庁が公表する「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」によると、可能な機能性表示の範囲については、健康の維持・増進の範囲内であれば、身体の特定の部位に言及した表現も可能とある。範囲の例としては、トクホで認められている表現が挙げられる、とあるが、トクホで表示可能な「歯」「骨」「お腹」に加え、「目」や「皮膚」、さらには「脳」など様々な部位へと拡大される見込みだ。また機能についても「ストレス」「睡眠」「疲労」「免疫」などトクホではうたえなかった効果について表示が可能になると、捉えられている。


 今後、申請が予想されるものとしては、認知機能の増強作用があり、認知症への効果が期待される「イチョウ葉エキス」、ウコンの色素で、抗酸化作用、肝保護作用、関節炎に対する効果などをもつ「クルクミン」、血圧降下作用があり、健康的な血圧を維持する「ギャバ」、免疫力を高める「乳酸菌」などを売りにした商品などが考えられる。

 また、トクホや栄養機能食品では認可されていなかった生鮮食品や農産物に関しても表示が可能となったことから、「高リコピントマト」や「βクリプトキサンチンを多く含むみかん」といった機能性野菜などの開発も進むと言われている。
申請企業を悩ます2つの壁

 企業にとっては、新たな市場開拓のチャンスがある一方で、いまだ不明瞭な点は多い。

 例えば、書類の受付のプロセスである。届出申請中のあるメーカー担当者の話では、4月1日に届け出をした後、5月初旬に消費者庁より書類の不備を指摘された。早急に、修正した書類を再提出したが、その後5月末時点で、いまだに連絡はなく、届出は受理されていないという。書類の届出から、再提出の指摘を受けた場合のやり取りを含め、最終的に受理されるまでのプロセス、想定される期間の目安はあるのか。今後、この制度が普及すれば、膨大な数の届出が発生することが予想される。それに対応するリソースを一体どのように確保するのだろうか。

 届出は、製品発売予定日の60日前までに行うことが原則で、届出が受理された60日後には商品包装などに表示して販売できることが前提だった。しかし、受理が届出より60日以降にずれ込んだ場合、製品はいつから発売できるのか。発売前に広告を行うことは可能なのか・・・メーカーにとって不明な点をあげたらきりがない、と健康食品企業の関係者はぼやいていた。

 もう1つ、企業の頭を悩ませているのが、排他性の確保だ。今回の制度では、各社が時間と費用をかけて研究開発した情報が、届出により、製品発売前に消費者庁のウェブ上に公開されることになる。その公開情報を基に、競合他社が類似の商品を開発・販売することが可能になってしまう。公開された研究データは公知のものとなり、他社がそのデータを活用して同じ効能をうたうことも簡単にできてしまうのである。

 企業にとって非常に重要な研究データと商品コンセプトという、本来なら最も慎重に取り扱う機密情報が発売以前に公知されるこの制度は、多くの企業に取っては、リスクが大きいものと受け止められている。


期待外れの制度となってしまうのか

 機能性表示食品の申請においては、研究データも健康な人を対象としたものしか使えない。あくまで食品であり、薬ではないため、機能性表示食品制度では、病気の予防や治療を目的とした効能表現を含め、以下のような表示は認められていない。

(1)疾病の治療効果または予防効果を暗示する表現

(2)健康の維持および増進の範囲を超えた、意図的な健康の増強を標ぼうするものと認められる表現 (例えば「肉体改造」「美白」「増毛」などの健康維持・増進の範囲を超えた表現)

(3)科学的根拠に基づき説明されていない機能性に関する表現

 安倍政権の肝いりの制度として前評判が高かったわりに、実際の届出数が少ないのは、新しい健康機能表示が可能になることは、大いに魅力的であるものの、上述のように、消費者団体等からのクレームを受けるリスクを自社で背負ったうえで、機能表示をしなければならない不安が拭えないからだろう。加えて、新製品の情報漏えいのリスクもあり、排他性も担保できないデメリットを考えると、現状得られるメリットの方が少ないことが、二の足を踏む企業が多い理由だろう。

 届出に必要なレベルのデータ取得、書類作成にかかる費用に関しても、一般的にトクホ取得にかかると言われる2~4億円よりは、はるかに少ない。しかし、新たな成分で機能有効性試験を行うと最低でも2000万円以上、長期摂取安全性試験に1500万~2000万円、過剰摂取安全性試験に1500万~2000万円と言われており、これらを合わせていくと新規の届出に必要な費用は5000万円以上になり、中小企業にとっては決して少ない負担ではない。

 こうした現状を踏まえて、企業はこの制度と具体的にどう向き合うべきか。次回、詳しく説明していきたい。

2015.6.12(金) 藤田 康人

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